2024.07.09
メタルボンドの寿命について徹底解説!他のセラミックとの比較も紹介
歯の治療で被せ物を選ぶとき、審美性に優れたセラミックを希望する方も多いのではないでしょうか?セラミックにはさまざまな種類がありますが、今回はメタルボンドについてご紹介します。
寿命がどのくらいか、寿命を迎えたらどうなるのかなど、気になることをまとめてみました。他のセラミックとの比較もしているので、ぜひ参考にしてください。
メタルボンドの特徴
メタルボンドは、全体をセラミックで覆い、内側を金属で補強した被せ物です。インプラントだけでなく、差し歯にも使われます。メタルボンドの特徴は、主に6つあります。
見た目がよい
まずは、メタルボンドのメリットからご紹介します。メリットの1つめは、見た目がよいことです。硬質レジン材よりも、より天然歯に近い色調を再現することが可能で、経年による変色もほとんどありません。
さらに、メタルボンドに使用するセラミックは光沢があり滑らかで、歯垢や汚れが付きにくいのも魅力と言われています。
天然歯に合わせやすい
2つめは、天然歯に合わせやすいことです。もちろんオールセラミックと比べると、透明感や美しさは若干劣るのは否めませんが、自然な仕上がりを求める方に適しています。
全体をセラミックで覆っているので、自分の歯の色に近付けることができ、違和感もほとんどないでしょう。
強度がある
3つめは、強度があることです。金属を使用しているメタルボンドは、強度がある分寿命も長くなりやすいです。さらに、奥歯でもすり減りや欠けるリスクを減らせるので、歯ぎしりや食いしばりの癖がある方にも適しています。
保険がきかない
メタルボンドのメリットをご紹介しましたが、デメリットもあります。まず、保険がきかないということです。つまり、自費治療になってしまうので、費用はある程度準備しておく必要があります。
金属アレルギーには適さない
2つめは、金属アレルギーの方には適さないことです。メタルボンドは内側に金属を使用しているため、金属アレルギーの方は使用できません。金属アレルギーだけどセラミックがよい方は、金属不使用のセラミックをおすすめします。
歯ぐきの黒ずみ
3つめは、歯ぐきの黒ずみです。メタルボンドは中身に金属を使っているため、経年劣化により金属が溶け出したり、歯ぐきが変色したりすることもあります。また、歯ぐきが下がって、歯と歯の境目が見えることもあるでしょう。
メタルボンドと他のセラミックの比較
メタルボンドの寿命は、大体7~8年と言われています。とはいえ、7~8年が長いのか短いのか判断が難しい方もいるかもしれません。そこで、他のセラミックとの比較をまとめたので、参考にしてください。
特徴 | メリット | デメリット | 寿命 | 費用相場 | |
メタルボンド | ・全体をセラミックで覆い、内側が金属になっている | ・見た目がよい ・天然歯に合わせやすい・強度がz高い |
・保険がきかない
・金属アレルギーには適さない ・歯ぐきが黒ずむ可能性がある |
7~8年 | 1本10万程度 |
オール セラミック |
・すべてセラミックで作られている | ・天然の歯に近い色や質感が出せる ・経年劣化がない |
・衝撃に弱い | 10~15年
|
1本8~13万程度 |
ハイブリッド セラミック |
・セラミックの粒子を歯科用レジン(プラスチック)に混ぜ込んだもの | ・審美性に優れる ・保険適用のため費用が安い |
・強度は低い ・変色しやすい ・適用範囲が限られる |
7~8年 | 1本5~10万程度 |
ジルコニア セラミック |
人工ダイヤモンドと呼ばれるセラミック素材 | ・強度が高い ・審美性に優れる |
・金属に比べると衝撃に弱い | 6~10年 | 1本8~10万程度 |
E-MAX | ・新しく開発されたセラミック素材で、透明度が高い | ・審美性が高い ・強度が高い |
・金属に比べると衝撃に弱い | 10~15年 | 1本8~10万程度 |
被せ物が寿命を迎えるとどうなる?
セラミックはどの種類であっても、いずれは寿命を迎えます。寿命を迎えると、どんなことが起きるのかを理解している人はさほど多くありません。メタルボンドの被せ物が寿命を迎えたとき、発生しやすいトラブルは主に3つあります。
被せ物が欠ける・割れる
メタルボンドは強度が高めですが、長期間使用するため、経年劣化を完全に防ぐことは至難の業です。
噛み合わせ時に、メタルボンドに負担がかかりやすくなり、欠ける・割れるなどのトラブルが起こりやすくなります。特に、歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、その傾向があるので注意が必要です。
虫歯・歯周病の原因になる
メタルボンドなどの被せ物が寿命を迎えると、被せ物と土台の歯の間にすき間が生じやすくなります。そこに汚れが溜まることで、虫歯や歯周病の原因になる可能性が高いのです。
メタルボンドの欠けや割れに気付いた場合、少しでも違和感がある場合は、すぐに歯科医院に相談するとよいでしょう。
歯ぐきが黒ずんで見える
神経を抜いた土台の歯は、次第に黒ずんでいく傾向があります。メタルボンドなどのセラミックを被せていれば黒ずんだ歯は見えないですが、歯ぐきが下がってくると黒ずんだ歯の根の部分が露出することがあります。
メタルボンドの寿命を伸ばす方法
同じ治療を受ける場合でも、ドクターの技術力によって平均寿命が変わるケースもあります。できるだけ長持ちさせるには、いくつかのポイントがあります。ここでご紹介する方法をぜひ実践してみてください。
技術力の高い歯科医師を選ぶ
メタルボンドの寿命は、歯科医師の技術力も大きく関係します。セラミックを削って歯に取り付ける際、適合しやすい形に削ったり、隣の歯との境目を滑らかに仕上げたりするなどの技術が必要です。
万が一、噛み合わせの悪い状態になると、噛む力が必要以上にかかるため、メタルボンドの寿命が縮みやすくなります。最悪の場合、周囲の歯に悪影響を与えてしまうかもしれません。まずは、技術力の高い歯科医師かどうか確認することをおすすめします。
セルフケアを丁寧に
汚れが付きにくいといわれるメタルボンドですが、それは丁寧なセルフケアがあってこそです。毎日のケアを怠ると口腔内に汚れが溜まり、メタルボンドの寿命を縮めやすくなります。
長持ちさせるには毎食後の歯磨きを徹底して、口腔内を清潔に保ちましょう。歯間ブラシも活用して、歯と歯の間に汚れが溜まらないようにしてください。
歯磨きは、優しく丁寧に行うことが重要です。強く擦ってしまうと、歯肉を傷つけたり歯茎が下がりやすくなったりする恐れがあるので、歯ブラシを柔らかめのタイプにするのもおすすめです。
ナイトガードを使用する
メタルボンドに強い力が加わると、欠けてしまったり割れたりすることがあります。就寝中に歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、注意が必要です。とはいえ、就寝中の歯ぎしりや食いしばりを意識して減らすことは難しいものですよね。
そこでおすすめしたいのが、ナイトガードです。ナイトガードは就寝中用のマウスピースで、これを装着するとメタルボンドへの負担を減らすことができます。
市販の物は自分の歯にフィットしないこともあるので、歯科医院で歯型を取ってもらい、オーダーメイドで製作してもらうとよいでしょう。
定期検診を受ける
治療終了後も定期検診を受けて、「虫歯や歯周病になっていないか」「噛み合わせに問題がないか」などをチェックしてもらいましょう。セルフケアができていると思っていても、汚れが溜まっている可能性があります。
また、歯は少しずつすり減っているので、噛み合わせも日々変化します。噛み合わせが悪化してメタルボンドに負担がかかると、寿命を縮めやすくなってしまうのです。
定期検診では、噛み合わせの調整、歯垢や歯石の除去などを行うのが一般的です。メタルボンドを長持ちさせて口腔内の良い状態を維持するためにも、3~6ヶ月ごとに定期検診を受けるようにしましょう。
メタルボンドの被せ物が外れた際の注意点
歯の詰め物や被せ物には、寿命があります。どんなにケアをしっかりと行っていても、何かのトラブルでメタルボンドの被せ物が外れてしまうこともあります。いざというときに落ち着いて対処できるように、以下の注意点を頭に入れておきましょう。
外れた被せ物を保存しておく
外れた被せ物は、捨てずに保存しておき、歯科医院を受診する際に持参します。ティッシュペーパーに包むと、被せ物を紛失したり変形したりする可能性があるので、避けた方が安心です。取れたときの状態を維持するために、容器に入れて保存することをおすすめします。
口腔内をより清潔に
歯科医院を受診するまでは、特に口腔内を清潔に保つようにしてください。患部が気になって触ってしまう人もいますが、絶対に触ってはいけません。刺激に弱くなっている状態なので、無理に触ると炎症を起こしたり感染のリスクを高めたりすることがあります。
ブラッシングの際は、柔らかいタイプの歯ブラシで優しく丁寧に歯を磨いてください。口腔内を清潔に保つには、抗菌作用のあるマウスウォッシュを使用するとよいでしょう。
強い刺激を与えない
神経が死んでいる歯の場合、冷たいものや熱いものがしみる心配はないものの、残った歯が欠けてしまう可能性はあります。
メタルボンドの被せ物が外れたら、患部に強い刺激を与えないようにしましょう。硬いもの、極端に熱いものや冷たいもの、辛いものなど、刺激になるものは食べない方がよいです。
歯科医院を受診する
メタルボンドに少しでも違和感があれば、治療を受けた歯科医院を受診してください。特に、治療を受けた歯が傷んだり、明らかに損傷が見られたりする場合は、早急に受診することをおすすめします。
また、虫歯や歯周病により、メタルボンドの適合状態が悪化して外れてしまうケースもあります。放置すると症状が悪化するだけでなく、自分の歯を失う恐れもあります。自分で治そうとせずに、歯科医師にきちんと診てもらいましょう。
まとめ
今回の記事では、メタルボンドの被せ物の寿命、被せ物が外れた際の注意点や寿命を伸ばす方法などについて、解説しました。被せ物には寿命がありますが、歯科医師の選び方や日々のお手入れを意識することで、より長持ちさせることは可能です。
YASUOKA DENTAL OFFICE UMEDAでは、患者様にぴったりの治療方法を提案します。被せ物の寿命や素材など悩みごとがありましたら、お気軽にご相談ください。