食いしばりにマウスピースは逆効果?逆効果の原因や正しいマウスピースの使い方を紹介

「朝起きると、マウスピースをしているのに顎がだるい…」
「歯を守るために作ったはずなのに、かえって食いしばりが酷くなった気がする」
そんな違和感を抱えていませんか?実は、マウスピースは正しく使えば心強い装置になりますが、選び方や調整を一歩間違えると、かえって症状を悪化させる側面も持ち合わせています。
最良のマウスピースに仕上げるには、脳や筋肉、素材との調和が必要です。
本記事では、マウスピースが逆効果と感じてしまう5つのメカニズムから、自分に合った正しい付き合い方までを徹底解説します。
マウスピースは逆効果?と感じてしまう5つの原因とは

期待を込めてマウスピースをつけてみたものの、逆効果では?と感じてしまった方に向けて、5つの主な原因を紹介します。
心当たりのある方は要チェックです。
- 異物感による噛み締めの誘発
- 合わないマウスピースによる噛み合わせの狂い
- ソフトタイプのガム噛み効果によるもの
- ストレスによる歯ぎしり・食いしばりのケース
- 装着感による睡眠の質の低下
異物感による噛み締めの誘発
逆に食いしばりが強まったと感じる大きな原因の一つに、口内の異物感による「咀嚼反射」の誘発があります。
私たちの体には、口の中に物が入ると、それを食べ物と認識して無意識に噛み潰そうとする本能的な反応が備わっています。
マウスピースという「異物」を追い出そう、噛み切ろうと本能が躍起になってしまい、睡眠中に顎の筋肉が過剰に活動してしまう、というわけです。
マウスピースは歯にかかる圧力を分散し、筋肉をリラックスさせるためのものですが、咀嚼反射が強く出ると、朝起きたらなぜか顎が疲れているという逆効果を招きます。
合わないマウスピースによる噛み合わせの狂い
マウスピースが自分の歯列に完璧にフィットしていない場合、特定の歯だけに強い力がかかる「早期接触」が発生します。
本来、噛む力は全ての歯でバランスよく分散されるべきですが、マウスピースの厚みが不均一だったり、長期間の使用で変形したりすると、一部の歯だけが突き上げられるような状態になります。
脳はこの違和感を解消しようとして、無意識に顎をずらしたり、強く噛み締めたりして調整を図りますが、この動きが顎関節への負担を増大させ、顎関節症や顔の左右非対称を引き起こすのです。
歯科医院での微調整を行っていないマウスピースは、わずかコンマ数ミリのズレが全身の姿勢や肩こりにまで影響を及ぼすこともあります。
ソフトタイプのガム噛み効果によるもの
ソフトタイプのマウスピースは、その柔らかさが裏目に出て食いしばりを助長してしまうことがあります。いわゆる「ガム噛み効果」と呼ばれる現象です。
人間には、弾力のあるものを噛むと心地よさを感じ、無意識に繰り返し噛み続けてしまう本能があります。睡眠中に柔らかい素材が口の中にあると、脳がそれをガムや食べ物と錯覚してしまい、無意識に咀嚼運動をしてしまうのです。
その結果、マウスピースが顎の筋トレ器具のような役割を果たし、朝起きた時の顎の疲労感やエラ張りを悪化させることがあります。
ガム噛み効果は食いしばりの力が強い人ほど顕著に現れます。
ストレスによる歯ぎしり・食いしばりのケース
歯ぎしりや食いしばりの原因が精神的なストレスにある場合、マウスピースは歯の保護以外には役に立たないことがあります。根本的な解決にならないばかりか、逆効果を感じることもあるため注意が必要です。
私たちの脳は、日常で感じた不安や怒りなどのストレスを、睡眠中に歯を強く食いしばることで発散しようとします。口はストレスの出口でもあるわけです。
脳からストレス発散の指令がある場合、マウスピースを装着しても脳からの「噛め」という指令は止まりません。
むしろ、口の中に異物があるストレスが加わることで、発散しようとするエネルギーがさらに増大し、より強い力でマウスピースを噛み締めてしまうケースがあります。
ストレスによる食いしばりの場合は、深呼吸やリラクゼーション、睡眠環境の改善といった脳・神経へのアプローチも重要です。
装着感による睡眠の質の低下
マウスピースによる睡眠の質の低下は食いしばり症状をより悪化させてしまうため、注意が必要です。
本来、心身を休めるべき睡眠中に、口内の違和感や圧迫感という「刺激」が加わり続けると、脳は完全に休息できません。睡眠が浅い状態が続きます。
人間は眠りが浅くなると交感神経が優位になりやすく、筋肉の緊張状態を引き起こします。結果として食いしばりの強度や回数が増えてしまうという、皮肉な逆転現象が起こるのです。
また、サイズが合っていないマウスピースは舌の通り道を狭めたり、呼吸を妨げたりすることもあります。
朝起きたときに「しっかり寝たはずなのに疲れが取れていない」「頭が重い」と感じる場合は、マウスピースがストレス源となり、睡眠を阻害しているサインかもしれません。
逆効果を引き起こしやすいマウスピースの特徴

精度の悪いマウスピースは逆効果を引き起こしやすいです。以下のマウスピースはかえって症状を悪化させてしまいがちなので注意しましょう。
- お湯でふやかして作る簡易タイプのマウスピース
- 長い間調整していないマウスピース
- 症状と素材が合っていないマウスピース
お湯でふやかして作る簡易タイプのマウスピース
お湯で温めて型取りをする市販の簡易タイプ(ボイル&バイト式)は、手軽な反面、精度の低さから逆効果を招くリスクが高いです。
簡易タイプのマウスピースは歯科医院で作製する精密なマウスピースと異なり、噛み合わせのバランスを均一に整えることは難しいです。
バランスが悪いマウスピースを使い続けると、特定の歯だけに強い負荷がかかる突き上げが起こり、歯の痛みや顎関節の違和感を引き起こします。
微妙なフィット感は異物としての刺激を強め、かえって無意識の噛み締めを誘発します。市販の簡易タイプは安く入手できるものの、歯並びや顎の間接に悪い影響を与える可能性が高いです。使用するならあくまで一時的にとどめておきましょう。
長い間調整していないマウスピース
長い間無調整で使用してきたマウスピースは、歯のポジションと装置の形状にズレが生じさせ、噛み合わせのバランスを崩してしまいます。
歯の動きとマウスピースの劣化によって、数年前にはぴったりだったマウスピースが、今は無理な力をかけてしまう装置に変化していることは、よくあることです。
微妙なズレが生じると、特定の歯に過剰な負担がかかって歯根膜炎を起こしたり、顎関節症を悪化させたりすることもあります。
マウスピースを使ううえで、歯科クリニックによる定期的なメンテナンスはとても大切です。
症状と素材が合っていないマウスピース
マウスピースの主な素材は、ハードタイプ(硬質レジン)とソフトタイプ(シリコン等)の2つです。症状と素材のミスマッチは、症状を悪化させる大きな原因となります。
例えば、食いしばる力が強い人がソフトタイプを使用すると、無意識に強く噛み込むクセを強化してしまい、顎の筋肉がさらに発達してエラが張ったり、顎関節の痛みが強まったりすることがあります。
逆に、顎関節症の痛みが強く、安静が必要な人が厚すぎるハードタイプを使用すると、関節への圧迫が強まりすぎて口が開かなくなるなどの症状を招く恐れがあります。
マウスピースは単に歯を覆えばいいというわけではありません。歯の保護と筋肉の緩和の優先順位によって、選ぶべき素材や硬さが異なります。
マウスピースの素材を選ぶ時は、食いしばりの強さや顎の状態を正確に診断しましょう。不適切な素材を使い続けることは、症状を複雑化させるリスクを伴います。
逆効果を防ぐ!正しいマウスピースとの付き合い方

逆効果を引き起こさないための、正しいマウスピースとの付き合い方を3点紹介します。
- マウスピース本来の目的を再認識する
- 歯科医院で最後までしっかり調整する
- 必要に応じてボツリヌス菌注射との併用も検討する
マウスピース本来の目的を再認識する
マウスピースの本来の役目は、本体が削れることで大切な自分の歯や骨が削れるのを防ぐこと、そして高さを均一に保つことで特定の歯や顎関節への過度な集中荷重を逃がすことです。
睡眠中の食いしばりは無意識の脳の指令によるもので、装置を入れたからといってすぐにゼロにはなりません。
本来の役目を認識しておけば、過度な期待による失望もなく、歯の寿命を伸ばすための装置として末長く付き合うことができます。
歯科医院で最後までしっかり調整する
人間は髪の毛一本分の厚みでも違和感を察知してしまうほどの、繊細な感覚を持ち合わせています。マウスピースを異物ではなく体の一部として認識してもらうためには、歯科医師の専門的な調整が必要です。
マウスピースは、型を取って口に入れれば完成、というわけではありません。装着した状態で上下左右に顎を動かしたとき、すべての歯が均等に当たっているかという、動的な噛み合わせの調整が不可欠です。
動かす調整が不十分だと、特定の歯に大きな力がかかってしまい、歯根膜炎による痛みや、顎関節症の悪化を招きます。
中途半端に妥協せずに、しっくりくるまで調整を繰り返すことこそが、最良のマウスピース作成に欠かせません。
必要に応じてボツリヌス菌注射との併用も検討する
マウスピースを使っても食いしばりが治らない、あまりに顎の力が強すぎるという方は、ボツリヌス菌注射(ボトックス治療)との併用で効果が得られる場合があります。
マウスピースは歯を守ることが本来の役目であり、食いしばる力そのものは根本から制御できません。
そこで、咬筋(噛む筋肉)にボツリヌス毒素を注入することで、過剰な筋肉の活動をリラックスさせ、噛み締める力そのものを物理的に軽減させます。
ボトックスとマウスピースの組み合わせによって、マウスピースに対する違和感や、ガム神効果による違和感を抑えることが可能です。
マウスピース単体での効果に限界を感じている方にとって、ボトックス治療との併用は有効な選択肢の一つです。
マウスピースに違和感を感じたらご相談ください〜安岡デンタルオフィス梅田院
マウスピースは精度が命です。症状や噛む力に合わないマウスピースをつけてしまうと、かえって食いしばりが強くなるなど、逆効果を引き起こしてしまいます。
また、劣化したマウスピースをそのまま使い続けるのも、同じく逆効果を引き起こしてしまいます。
マウスピースを作成するときは、歯科医師との十分なヒアリングを経て、精度の高いものを作成しましょう。
安岡デンタルオフィス梅田院では、高精度なマウスピースの作成だけでなく、ボトックスなどの医薬療法のご相談にも応じています。患者さまの根本的な食いしばりの解決を目指して最適な治療プランを提案しておりますので、お悩みの方はお気軽にお声がけください。
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