2024.12.12
インプラントが保険適用されるケースとは?自由診療と保険診療の違いも紹介
「インプラント治療を検討しているけど治療費が高すぎる!保険適用できないの?」
このように、インプラント治療の保険適用条件が気になっている人も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、基本的にインプラント治療は保険適用外です。自由診療として施術を受けます。
しかし、例外的に保険適用となるケースもあります。
本記事ではインプラント治療と保険適用について、詳細を紹介しています。インプラント治療の費用が気になっている人は、ぜひ記事内容をご確認ください。
インプラント治療が保険適用となる条件とは
2012年4月から特定の場合において、インプラント治療にも保険適用が認められるようになりました。
特定の場合とされる2つのケースを紹介します。
- 先天的な疾患がある
- 病気または事故の影響
先天的な疾患がある
先天的な疾患がありインプラント治療が必要な場合は保険適用となるケースがあります。
先天的な疾患の具体例は次のとおりです。
- 生まれつき顎の骨が3分の1以上連続して欠損している
- 生まれつき顎の骨が変形している
- 先天的欠損歯が6本以上ある
- 先天的欠損歯が連続して6本以上ある
以上の条件に一つでも当てはまれば保険適用される可能性が高いです。
病気または事故の影響
病気や事故の影響でインプラント治療を受ける場合も保険適用となるケースがあります。
具体的な症例は次のとおりです。
- 顎骨骨髄炎や事故の衝撃などによって顎の骨の3分の1を喪失している
- 生まれつき顎の骨の3分の1以上が欠損している。もしくは形成不全
虫歯や歯周病は後天的な疾患になるため、保険適用されません。保険が適用されるか否かは、歯科医師の判断が必要です。
保険適用外となるインプラント治療の主な原因
先天的な疾患や事故など不可抗力で歯を失った場合は、保険適用のインプラント治療ができる可能性がありますが、次のような症状を回復させるための治療では、保険適用とはなりません。
- 虫歯
- 歯周病
- 破損
- 加齢による歯の喪失
噛む機能の向上を目的としてインプラントを治療を行う場合は、対象外になるということです。
インプラントが保険適用になるために必要な施設の条件
インプラント治療を適用するには、症状の他に病院側の施設や体制などにも条件が設定されています。
保険診療が適用される病院の条件は次のとおりです。
- 病院であること
- 当直体制が整備されている
- 歯科もしくは歯科口腔外科として運営している保険医療機関であること
- 医療機器の保守管理や医薬品に関する安全確保の体制が万全であること
- 診療科に関わる経験が5年以上、療養に関わる経験が3年以上の常勤歯科医師が2名以上在籍している
常勤の歯科医師を配置した病院であることが前提となっています。一般歯科診療に携わる歯科クリニックや自由診療を中心に診察している美容外科などは対象外です。
現実的に対応できるのは、本格的な外科治療や緊急対応ができる大学病院となります。
保険診療と自由診療の違い
保険診療と自由診療の違いを一覧表にまとめました。
保険診療 | 自由診療 | |
概要 | 公的な健康保険の対象となる診療 | 保険が適用されない診療 |
診察と治療内容 | 国民健康保険法や健康保険法などによって給付対象と定められている検査や治療 | 医療保険各法の給付対象にならない検査や治療 |
費用 | ・1割〜3割負担
・同じ診療内容ならどこの歯科医院でも同じ費用 |
・全額自己負担
・同じ診療内容でも医療機関によってことなる |
それぞれの違いについて詳細を説明します。
保険診療
保険診療は健康保険が適用される診療のことを言います。基本的に医療費の3割が自己負担額です。
保険適用範囲内で使われる主な治療や素材は次のとおりです。
- 銀歯やコンポジットレジンを使った虫歯治療の詰め物と被せ物
- ブリッジ
- 入れ歯
- 定期検診
保険診療は少ない費用で治療を受けられる一方で、治療にかけられる時間に制限があり、審美性や健康面への配慮が十分になされているか、などの懸念点もあります。
自由診療
自由診療では公的な医療保険が適用されない治療のことを言います。別名、保険外診療と呼ばれることもあります。
審美性や機能面、健康面への配慮とこだわりを重視した治療ができる点が強みです。ライフスタイルに合わせて治療期間の相談もできます。
一方で、保険適用治療に比べると費用はかなり割高になる点はデメリットと言っても良いでしょう。
自由診療にかかる費用と効果のバランスを考えたうえで、歯科医師とよく話し合ったうえで自由診療を選ぶようにしましょう。
インプラント治療費を抑える方法
高額なインプラント治療費用を抑える方法を3つ紹介します。
- 高額療養費制度を活用する
- 医療費控除を使う
- クレジットカードやデンタルローンを活用する
高額療養費制度を活用する
高額医療費控除とは、公的医療保険に加入している人が1か月の間に支払った医療費の自己負担額が、限度額を超えた時に超過分が払い戻しされる制度です。
インプラント治療を含めて、同月に支払った医療費全てを合算して申請できます。
限度額は加入者の年齢や所得に合わせて変わります。
高額療養費制度は定期的に基準額の見直しが実施されていますので、利用を検討する人は厚生労働省のホームページにて確認しましょう。
医療費控除を使う
医療費控除とは、当年の1月1日から12月31日の間に支払った医療費を対象とした所得控除のことをいいます。
1年間の医療費が10万円を超えた場合に対象となります。生計を同じくする家族全員の合算金額で請求可能です。
所得金額によって還付金はことなりますが、自由診療を選択のうえインプラント治療を受ける場合は医療費控除をうまく活用したいところです。
医療費控除を受けるには、次の年の確定申告にて税務署へ申告しなければいけません。所得税控除を受けることによってインプラント治療の負担を抑えられます。
クレジットカードやデンタルローンを活用する
現金払いよりもクレジットカード払いの方が、ポイント付与の分だけやや治療費を割安にできます。
分割払いにも対応しているため、細かな資金繰りにもちょうど良いです。
クレジットカードの支払い明細をそのまま、医療費控除の支払い証明書として利用することもできます。
その他、歯科治療に特化したデンタルローンを使う方法もあります。最大84回まで分割払いできるため、高額な治療費の負担を分散させることも可能です。
クレジットカードやデンタルローンに対応している歯科医院であれば、選択肢の一つとして有効です。
インプラント治療と生命保険
生命保険には、医療費特約があります。医療費特約をつけていれば、病気やケガのときの治療費が給付金として保証されるというものです。
インプラント治療も対象になりそうな気がしますが、残念ながら生命保険の医療保障の対象外です。
医療保障の対象になるには医科診療報酬点数表に、手術料が算定されている必要があります。
インプラント治療の場合は、医科診療報酬点数表に手術料が算定されていないため、対象外になるというわけです。
例外的に前述のインプラントが保険適用されるケースでは、治療費用が給付金の対象となるケースもあります。
治療内容や契約している生命保険の内容によって条件が異なるため、インプラント治療を受けるときは医師や保険会社へ確認しましょう。
まとめ
基本的にインプラント治療は保険適用外です。保険診療に比べて高額な治療費が必要なことは事前に認識しておく必要があります。
しかし、すべてのインプラント治療が保険適用外というわけではありません。
先天的な疾患や病気または事故の治療にインプラント治療が必要な場合は、例外的に保険適用となるケースもあります。
インプラント治療を保険適用とするには、受診する歯科医院の設備にも一定の条件が課されているため、保険適用できるか気になるときは歯科医院にて相談してみましょう。