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2024.09.19

矯正治療にて抜歯は必要なのか?非抜歯矯正の可能性とデメリットについて解説

綺麗な歯並びは親の愛情の裏返しとも言われますが、子供のうちから抜歯してまで矯正治療をすべきなのかと、悩んでいる親御さまも多いのではないでしょうか。

子供の一定の時期なら歯を抜かない非抜歯矯正でも対応可能です。しかし、特定のケースでは抜歯した方が良いケースがあるのも事実です。

非抜歯矯正は負担がかかりにくい方法ですが、無理に進めるデメリットも大きなものです。

本記事では、非抜歯矯正のメリットとリスクについて、詳細を説明しています。

小児矯正に抜歯は必要?抜歯なしでもできるケースとは

子供が小さい間に矯正をスタートすると、顎の成長に合わせて治療ができるため、歯を動かすスペースが確保しやすくなります。したがって、歯の位置が定まっていない小児の間に矯正を始めると、抜歯なしで済むケースが増えるというわけです。

抜歯は歯が動くためのスペースを確保するための処置です。歯が動くスペースに余裕がある段階では無理に抜歯する必要はありません。

矯正装置のみで自然な歯並びを作り出すことができます。

抜歯をするときに抜く歯はどれ?

噛み合わせの影響が少ない前歯中央から4本目の第一小臼歯か、5本目の第二小臼歯が選ばれます。前歯や犬歯に比べると、抜歯してもそれほど大きな影響を及ぼしません。

小臼歯は奥歯と前歯の中間に位置しているため、矯正をするときに歯の移動を少なくできるメリットもあります。

大人の場合、親知らずを抜くケースもありますが、子供の場合はまだ親知らずが生えていないため抜くことはありません。

小児矯正にて非抜歯矯正ができないケース

顎や歯の状態次第では抜歯しないと矯正治療が進められないケースがあります。

非抜歯矯正ができないケースは、主に次の通りです。

  • 歯を移動させるためのスペースがない
  • 口が自然に閉じられない
  • すでに顎の成長が止まっている
  • 乳歯が矯正治療の邪魔をしている

成長に合わせて矯正できない場合や、歯のスペースがどうしても確保できない場合に限って抜歯が必要になります。

歯を移動させるためのスペースがない

矯正治療は顎の骨に力をかけて歯をゆっくり動かす治療方法ですが、歯を動かすにはスペースが必要です。スペースを確保できない場合は抜歯しなければいけません。

顎の成長を生かした小児矯正は3〜12歳の頃に適用できる治療方法です。中には10歳を超えると顎の成長が止まっていることもあるため、抜歯が必要なケースもあります。

とはいえ、顎の成長が止まっているから必ず抜歯が必要、というわけではありません。スペースさえ確保できれば、負担をかけてまで抜歯する必要はありません。

まずは歯科医院にて矯正のシミュレーションを行いましょう。

口が自然に閉じられない

自然に口を閉じられない場合は抜歯を検討する必要があります。上顎と下顎のサイズがあっていないと自然に口が閉じられません。

矯正によって歯を綺麗に並べることはできても噛み合わせに問題が生じるため、結局は抜歯が必要になる、ということです。

矯正治療は歯並びの改善とともに、噛み合わせの改善も目的の一つです。噛み合わせが悪いとあらゆる不都合が発生し、体への負担が少しづつ蓄積していきます。顎の噛み合わせを整えるために抜歯を検討しなければいけません。

すでに顎の成長が止まっている

顎の成長を利用した矯正の方法は小さい子供の間にしかできない矯正方法です。顎の成長が終わっている子供は、歯を移動させるスペースがない場合に限って、矯正治療のために抜歯しなければいけません。

抜歯は子供にとって底知れぬ恐怖感と不安感を与えるため、矯正治療のための抜歯を了承してくれるか不安は残ります。

抜歯の必要性は専門家しか適正な判断は下せないため、抜歯の可能性を含めて、矯正治療の相談をしましょう。

乳歯が矯正治療の邪魔をしている

乳歯のグラつきによって矯正器具をつけにくくなっている場合や、乳歯の生え替わりの時期がすぎているのに乳歯が残っているなど、矯正治療に支障をきたしている場合は乳歯の抜歯が行われます。

いずれは抜ける乳歯を先に抜歯する処置なので、永久歯の抜歯と異なり、子供への負担はそれほど大きくありません。

乳歯が矯正治療の邪魔をしている場合、抜歯の他に自然に乳歯が抜けた後にすぐ矯正治療を進める方法もあります。

子供がどうしても抜歯を受け入れられない場合、絶好のタイミングを見て矯正治療をスタートするしかありません。

非抜歯矯正の代表的な処置方法

非抜歯矯正の代表的な治療法を2つ紹介します。

  • 床矯正
  • マウスピース矯正

床矯正

床矯正(しょうきょうせい)は、顎を広げて歯を綺麗に並べる矯正方法です。前歯4本が永久歯に生え変わったタイミングを見計らって実施されます。

ワイヤー矯正に比べると食事がしやすく、治療に伴う痛みが少ないメリットがあります。

痛みや違和感を極端に嫌う子供の場合、床矯正が効果的です。

歯の大部分が永久歯に生え変わっていると実施できない治療法なので、床矯正を実施したい場合は、早い段階で歯科医師へ相談した方が良いでしょう。

マウスピース矯正

マウスピース矯正は、透明のマウスピースを使う矯正方法です。目立ちにくく取り外しができる、ストレスになりにくいなど、多くのメリットがあります。

自由に取り外しができる一方で、子供が嫌がって外してしまうこともあります。度々外してしまうと矯正の意味を為しません。かえって治療期間は長引くばかりです。そのほかには、治療中に虫歯や歯周病になってしまうと、治療が中断されるなどのデメリットもあります。

マウスピース矯正は、最低限の口腔内メンテナンスができることが前提です。

ある程度しっかり歯磨きができる高学年の子供向けの治療法と言っても良いでしょう。

非抜歯矯正のデメリットとリスク

非抜歯矯正は適正な治療を行えば効果的にはたらきますが、判断を間違えると逆にデメリットが大きくなってしまいます。

非抜歯矯正の誤った取り組み方と、その結果として現れる症例を4つ紹介します。

  • 非抜歯矯正にこだわりすぎると逆効果に
  • 口元が出っ張ってしまう
  • 歯肉が下がり始める
  • 矯正前の状態に戻りやすい

非抜歯矯正にこだわりすぎると逆効果に

子供の抜歯へ恐怖があまりにも凄まじいため、非抜歯矯正を望む親御さまは多いです。しかし、歯を動かすスペースが足りないにもかかわらず、非抜歯矯正を進めてしまうと逆に歯並びが悪くなり、噛み合わせが合わなくなることもあります。

先の長い将来のことを考えると、抜歯して歯並びと噛み合わせを整えた方が良いのですが、子供の恐怖感を目の前にすると、判断に迷ってしまうのは無理もありません。

矯正の治療方法については、担当の歯科医師をよく相談の上、決めましょう。

口元が出っ張ってしまう

非抜歯矯正にこだわりすぎてしまうと、口元が出っ張ってしまう、いわゆる口ゴボ状態になってしまいます。横顔のEラインが崩れる状態です。

Eラインとは、鼻とあごの先をつないだ線のことをいいます。Eライン上の少し内側に唇が収まっている横顔が理想と言われています。

十分なスペースがないのに非抜歯で無理やり歯を並べると、入り切らなかった前歯が前に出てしまい、口元がEラインからはみ出します。

子供の将来を考えると、間違った選択のために顔の形が崩れてしまうなど、悲劇でしかありません。

判断に迷うところですが、いっときの苦痛を回避して将来の後悔を招くことを考えると、抜歯の上で矯正治療を進めた方が良いかも知れません。

歯肉が下がり始める

歯肉が下がることを「歯肉退縮」と言います。歯肉に負荷がかかることで起きる現象です。歯肉退縮は矯正歯科全般でみられます。狭いスペースに歯を無理に並べることで、歯肉退縮のリスクは高まると言われています。

小児矯正の段階で直ちに歯肉退縮のリスクが高まる可能性は低いです。しかし、将来発生するリスクも考慮しておく必要があります。

歯肉が下がると歯が長く見えるだけでなく、歯の間の隙間まで大きく見えてしまい見た目がとても悪いです。知覚過敏や歯周病、虫歯にも気をつけなければいけません。

矯正前の状態に戻りやすい

無理な非抜歯矯正によって狭いスペースに歯を並べてしまうと、矯正が終わった後に歯が元の場所に戻ってしまう後戻り現象が起きる可能性があります。

後戻り現象が起きるとまた矯正のやり直しとなるため、余計な時間がかかってしまいます。人体への負担も計り知れません。

非抜歯矯正に適した症例の場合、抜歯よりも歯の移動距離を抑えられるため、逆に後戻り現象が起きにくくなります。

非抜歯矯正にこだわりすぎると、治療がうまくいかず本末転倒となってしまう例の一つです。

目先のことだけを考えてしまうと、かえって遠回りになってしまうこともあります。予想される結果をよく考えなければいけません。

まとめ

子供の間は顎の成長に伴う歯の動きに合わせて矯正治療ができます。この場合、抜歯の必要はありません。10歳を超えたあたりから成長が止まってしまうため、歯の状況次第では抜歯が必要になります。

非抜歯にこだわりすぎると、逆に歯並びに悪影響を及ぼすため注意が必要です。歯を動かすのに十分なスペースが確保できない場合、素直に抜歯を選んだ方が良い結果を得られます。

目先のことよりも遠い将来に後悔しないための矯正治療を選ぶことが大切です。適切な矯正治療は経験豊富な歯科医師のアドバイスのもと進めましょう。

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