2025.04.07
永久歯が途中で止まるリスクは?対処法や原因についても徹底解説
「永久歯が見えているのに途中で止まっている」「乳歯が抜けてからかなり時間が経つのに永久歯がなかなか生えてこない」とお子さんの歯の成長が気になる方は多いのではないでしょうか?
乳歯から永久歯へと自然と生え変わることが多いですが、永久歯がなかなか生えてこないケースもあります。永久歯が生えてこないケースは、永久歯が途中で止まっているケースと永久歯が生まれつき存在しないケースの2種類。
今回は、永久歯が途中で止まるケースについて詳しく解説します。永久歯が途中で止まるリスクのほか、対処法や原因、自宅で行うケア方法などをご紹介しているので、小さなお子さんがいるご家庭はぜひ参考にしてください。
永久歯が途中で止まるリスクは?
永久歯が途中で止まっても、しばらくして生えてくれば問題ありません。生え変わりには個人差があり、半年後に生えてくるケースもあれば、1年後に生えてくるケースもあります。
しかし、永久歯が途中で止まる状態が長期間続くと、周辺の歯に悪影響を及ぼす可能性があります。主なリスクは、以下の三つです。
虫歯や歯周病になりやすい
一つめは、虫歯や歯周病のリスクです。歯並びが悪いと歯磨きがしにくく汚れを十分に落としきれず、虫歯や歯周病を引き起こすリスクが高くなってしまいます。
歯並びや噛み合わせが悪くなる
二つめは、歯並びや噛み合わせへの悪影響です。生えてこない歯があるということは、歯に隙間ができるということです。隙間を埋めるために周囲の歯が倒れ込んできてしまい、歯並びや噛み合わせが悪くなる可能性があります。
審美性が低下する
三つめは、審美性の低下です。永久歯が途中で止まる部位によっては、目立ってしまうのは否めません。特に、前歯の部分に生えるべき永久歯が途中で止まると、笑ったときに目立つので、コンプレックスになる方も多いようです。
永久歯が途中で止まるときの対処法
永久歯が途中で止まっているとき、歯科医院で行う対処法は主に五つあります。
レントゲン撮影を行う
永久歯がどの位置にあるのかを把握したい場合、まず最初にレントゲン撮影を行います。レントゲン撮影により、永久歯の有無のほか永久歯の位置、永久歯の埋伏や欠如などを確認することが可能です。
歯茎を切開する
永久歯が自力で出てこれない場合、歯茎を切開します。切開すれば永久歯が出てきやすい環境が整うため、自然に生えてくる可能性が高いです。
矯正治療を行う
永久歯が生えるスペースが足りない場合、矯正治療によって顎の骨の成長を促します。効果を出やすくするには、矯正治療をなるべく早めに行うことが望ましいです。
抜歯する
過剰歯などなくても困らないと判断された歯の場合、抜歯することが多いです。ただし、トラブルなく経過していれば、抜歯せずに様子を見ることもあります。なお、抜歯部位や処置内容によっては痛みや腫れを伴うことがあるので、注意が必要です。
開窓牽引をする
永久歯が埋もれている場合、開窓牽引という治療法を選択することもあります。開窓牽引とは、矯正装置により埋伏歯を牽引して歯を少しずつ引っ張り出す治療法です。治療期間は、約半年~1年が一般的です。
永久歯が途中で止まる原因
永久歯が途中で止まる原因は、主に七つあります。永久歯が途中で止まり、出てこれない場合は、それぞれの原因に適した対処をすることが必要です。
永久歯が顎骨や歯肉に埋まっている
永久歯が顎骨や歯肉に埋まっている状態の歯を「埋伏歯(まいふくし)」と言います。この埋伏歯は、「犬歯」や「親知らず」そして「過剰歯」に多く見られます。過剰歯は、名前の通り本来生えてくるべき歯の数よりも多く生えている歯のことです。
永久歯が埋まっている場合、レントゲン撮影で歯の位置を確認した後、必要に応じて矯正治療や外科的処置を検討します。
乳歯が早く抜けてしまった
下から永久歯が生えると、乳歯は歯根が吸収されて抜け落ちていきますが、乳歯が通常よりも早く抜けてしまうことがあります。乳歯が早く抜けた場合、永久歯が生えるまで時間がかかりやすいです。
永久歯が生えてくる時期には個人差があるものの、歯科医院で定期的に経過観察をする必要があります。場合によっては、歯をスムーズに動かすために乳歯を抜歯しなければいけません。
歯茎が硬いまたは分厚い
歯茎が通常よりも硬いまたは厚い場合、永久歯が生えてくるまでに時間がかかりやすいです。1~2年で自然に永久歯が生えてくることが多いですが、永久歯の動きに変化がないケースもあります。
その場合は、レーザーで少し歯茎を切るなどの処置をしたり、矯正治療により永久歯を引っ張り出してあげたりすることが多いです。
虫歯や外傷により乳歯の神経が死んだ
乳歯が永久歯が生え変わるとき、永久歯は上に生えている乳歯の根を吸収しながら生えてきますが、乳歯の歯の神経が侵されていたり抜歯していたりすると、乳歯の根の吸収が遅れて、永久歯がなかなか出てこれません。
また、乳歯に外傷がある場合、生えてくる永久歯の形成を妨げてしまい、永久歯の歯根の形成も遅くなり、なかなか出てこない可能性もあります。
永久歯の生えるスペースがない
一般的に、顎が小さいと永久歯が生えてくるスペースが確保できず、永久歯が生えてくるのに時間がかかることがあります。現代は顎が小さい子が多く、このケースに該当する子どもは少なくないと言われています。
この場合、永久歯が生えてくるスペースを確保するために、矯正治療で歯列を広げて永久歯が生えるスペースを作ったり歯の根元を動かしたりすることが多いです。
永久歯の生える向きに異常がある
永久歯の生える向きに異常があると、他の歯が障害となり永久歯が途中で止まる可能性があります。その場合、乳歯を抜歯したり矯正治療で永久歯を引っ張ったりする処置を行うことが多いです。ただし、極端に向きが悪い場合は、抜歯せざるを得ないこともあります。
アンキローシス(骨性癒着)
アンキローシスとは顎骨と歯根が直接癒着している状態のことで、第三大臼歯(親知らず)や上の犬歯(糸切り歯)に多く見られます。
一般的に、私たちは顎骨と歯根の間に「歯根膜」がありますが、転倒や事故などの外傷により歯が何らかの損傷を受けると、歯根膜が失われて顎骨と歯根が癒着してしまうのです。また、虫歯が歯根まで進行した場合も、アンキローシスを引き起こすことがあります。
アンキローシスが認められる場合、骨と歯根の癒着を剥がす処置などが必要です。
自宅で行う親のケア方法
乳歯から永久歯へと生え変わるときは、親が正しくケアすることが重要です。
正しい歯磨き方法を教える
生え変わりの時期は、口腔内が不安定な状態になりやすいです。子ども一人で歯磨きした場合、磨き残しがあることも多いため、親が正しい歯磨き方法を教えてあげましょう。
まず、歯ブラシは生え変わり期用のもの、歯磨き粉はフッ素配合のものを選びます。歯磨きをするときは、歯に歯ブラシの毛先をきちんと当てるように指導してください。
手鏡で歯をきちんと磨けているかチェックしながら、歯ブラシを縦や斜めに小刻みに動かすのがポイントです。
仕上げ磨きをしてあげる
生え変わり期の歯は、磨きにくいだけでなく虫歯になりやすいため、小学校低学年までは、親が仕上げ磨きをしてあげる必要があります。仕上げ磨きのときは、虫歯になりやすい奥歯から始めるとよいでしょう。
奥歯の溝、歯間、歯と歯肉の境目なども忘れずに。寝かせ磨きにすると、口の中がよく見えてブラッシングもしやすいので、おすすめです。
定期的な歯科検診
生え変わりの時期は、定期的に歯科検診を受けることも必要です。歯科検診を受けることで、口腔内の状況を正確に把握でき、適切に対処できます。
矯正治療の必要性や最適な矯正方法もわかるので、永久歯が途中で止まることへの不安もいち早く払拭できるでしょう。虫歯になりやすいお子さんの場合、予防処置をしてもらうのもおすすめです。
まとめ
永久歯が途中で止まりなかなか生えてこないと、心配になる方は少なくありません。しかし、歯科検診を定期的に受診することで、お子さんの口腔内の状態や永久歯の位置などを把握することができます。もちろん、自宅で正しい歯磨き方法を指導したり、仕上げ磨きをしたりするのも忘れずに。
安岡デンタルオフィス 梅田院では、最適な治療法により、患者様の不安を取り除きます。「医療コンシェルジュ」制度を導入し、初診時から治療終了まで担当医と選任カウンセラーが継続して診ていくので、お子さんも安心して治療を受けることが可能です。歯に関することで気になる点がありましたら、YASUOKA DENTAL OFFICE UMEDAまでお気軽にご相談ください。